にっかつロマンポルノ - メーカー一覧(映画)

きっこからの電話が鳴っている。きっこの姉の八重子と、夫の光夫は、手首に紅いアザのある大男に手足をしばりあげられている。男の右手には出刃包丁、左手には拳銃。男は八重子の唇を抑え、乳房を鷲づかみにして犯しはじめた。耐え難い絶望感と押し寄せる快楽の波が八重子を襲い、凝視する光夫の顔は屈辱に歪んでいる。電話が通じないのに驚いて帰ってきたきっこの見たものは狼藉の後だった。

大奥に秘められた愛欲を描くエロス・ドラマ。刺青女に夢中な六代将軍・家宣のために、刺青を彫られる側女たち。

監督は『透光の樹』『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』の根岸吉太郎。本作では70年代末期の気分を洗練された描写で切り取っている。主演はロマンポルノのみならず、当時の日本映画を代表する女優・宮下順子。女の性の機微を演じ、存在感を示した。共演は亜湖があたり一風かわった女の子の役をサラリと演じている。

女子プロ新人杯で優勝した朝倉真紀子は、覚せい剤常習の容疑で逮捕され、プロゴルフ連盟から永久追放された。刑期を終えて出所した真紀子に、ゴルフ通信の陣内という男が「プロゴルフ界には、裏と表がある。君は一流のハスラーになれる」と言い、お膳立てを約束する。もはやライセンスを失った真紀子にとって、ハスラーとして生きていくしかなかった。真紀子の最初の相手は、土建会社社長の黒川であった。しかし、この勝負は真紀子の圧勝に終わる。黒川はすかさず真紀子にリターンマッチを申し込んだ。

ある日、嵐が江戸を襲う。浄瑠璃や歌舞伎でも知られる「八百屋お七」を題材にした、時代劇ポルノの傑作。

浅野雄吉は信用金庫に勤めている実直なサラリーマンである。二年前霧子と結婚、団地で幸せな家庭生活を送っていたが、ある夜、得意先の経営者招待で、秘密に入手した8ミリ映画をかけたところ、妻にそっくりな女を観て、びっくりする。翌日、フィルムを持って家へ帰った彼は、甘くすねてみせる霧子にフィルムを見せて詰問する。とたんに霧子の顔色が変わったのを彼は見逃さなかった。翌日、やつれ顔の霧子は、雄吉に離婚を申し入れる。が、彼は妻の申し入れを拒んだ。

‘官能のソムリエ’林功監督、小川節子主演の時代劇ポルノ。江戸時代中期、財力と権力にまみれた男たちに翻弄された女の性愛を描く。父を亡くしたおそのは、蔵前の札差・美濃屋喜右衛門の下へ女中奉公に出る。‘日活名作ロマンシリーズ’。

秘密ショーの現行犯で、実刑と罰金刑をくらった殿村銀次郎は、半年振りで朝顔太夫の待つボロアパートへ帰ってきた。以前、吉原一の売れっ子だった彼女は、朝顔が大好きなことから、朝顔太夫といわれるようになったのだが、もう七十を越えた老婆である。ある日、芸能プロの社長から‘花電車’もやれる女の斡旋を頼まれた殿村は、数日後、喫茶店で若い女・愛子と会う。彼女は殿村が罰金を支払った地裁で現金出納の係りだった女性で、安月給で細々と生活していた。

‘欲望のアナーキスト’曽根が監督、『太陽を盗んだ男』の監督で知られる長谷川和彦が脚本を執筆した官能時代劇。天明年間、老中・水野忠邦の陰謀により義賊に祭り上げられた‘ねずみ小僧’の悲劇を描く。‘日活名作ロマンシリーズ’。

卓抜した表現に富んだ傑作や名作、映画賞受賞作品、エンタテインメントとしての人気作、話題作などのアンソロジー…。女優たちが演ずるめくるめく官能の世界に浸っていくにつれ、作品のジャンル・内容も、シリアスな現代劇から学園もの、コメディ・タッチ、サスペンス風、エロス大作、時代劇、SMものなど、とても多彩であることが分かる。1970年代、80年代に一世を風靡したエロスの女神たちの貴重な映像集は何度見ても新鮮である。