美希は、下着メーカーのデザイナーで、夏にむけての新作ランジェリーのデザインに意欲的なキャリア・ウーマン。そして、自由奔放なセックスライフをエンジョイし、80年代こそ女が男を選ぶ時代と意気軒昂の毎日を送っていた。 美希は、会社の宣伝課の辻本がどうも気になる存在であった。そんな美希の思いを知ってか知らずか、辻本はなうてのプレイボーイとして若い女子社員とのSEXに明け暮れているにもかかわらず、未だに美希とは肉体関係がなかった。そんな辻本に憧れている後輩の典子から、一度ベッドインで狂いそうなくらい恋焦がれてしまったという胸中を告白された美希は、少々狼狽しながら「SEXってスポーツくらいにしか考えていないから、そんなに深刻に思い悩んだらダメよ。」と言い放つ。 美希は、とあるバーへ辻本を呼び出すと、典子に対する辻本の気持ちを打診する。「向こうから誘われたんだ。」という辻本に、酒の勢いもあって美希は積極的にアタック。しかし辻本は、美希が一番好きだが、一度タイミングを逸してから何となくSEXする気にならないと言うと、今夜は先約があるからと、すげなく出て行ってしまった。
好色文学で有名な萬木澄人の妻・夏子は夫の小説を読んだことが無い。結婚のときに「僕の小説を絶対に読まない」ことを条件にされたからだ。ある日、友人の三宅待子に夫の新刊本を渡される。いたずら心で待子は本の内容を教える。作家と妻の異常なセックスが描かれている、というのだ。ショックを受けた夏子は、夫に違う内容を書くようにと叫ぶのだった。数日後、夏子はレコード店で万引きしている男を目撃した。その男は、時折り夫へ原稿を見せにくる石母田章だった。見逃した夏子を、章はお礼にとスナックへ連れて行く。若い男たちが群れを成し、男たちの体臭で満ちているような店内は彼女の官能を刺激した。店を出て衣料店に入った。小説の主人公が万引きをする、そのくだりを実行してみようというのだった。男もののパジャマを盗むと興奮しながら逃げ出した。帰宅して万引きしたパジャマを夫に着せると、欲情した夏子は激しく求めていった。より刺激が欲しくなった夏子は、石母田に連絡する。他の男に抱かれてみたいという欲望にかられていた。連れていかれたのは、秘密クラブだった。そこでの光景に夏子は異様な興奮を感じるようになっていた。澄人は石母田からあるクラブの女たちの話を聞いた。興味を持って案内されていくと…。
筋骨隆々、逞しい肉体が自慢の張形馬太郎は、女流彫刻家・大場カメのモデルになったことから、彼女の遠縁の加代子と見合することになった。加代子は過去に二度結婚の経験があったのだが、夫婦生活が以上に強く、相手の男は二度とも加代子の精力に応えることが出来ず、命からがら逃げだした、というくらいの「性豪」なのだった。馬太郎は自信満々に初夜に臨むが、久しぶりの獲物にハッスルする加代子の猛攻にあい、口ほどに無くノビてしまうのだった。馬太郎では相手にならない加代子は、満たされない欲求を抑えることが出来ないまま、隣家の友人の美江や女中の花子とともに男たちに猛アタック、だが男たちは次々とダウン。その一方、馬太郎は巻き返しをはかって、猛訓練の日々を送っていた…。
冬の昼下りに住み込みのバー「幸福」の裏窓から、情事を終えたばかりの少女・夕子は一人の青年を見た。青年は長距離便トラックの荷台で口笛を吹いていた。その口笛の音色が夕子の心を捉え、青年も裏窓の夕子を美しいと思った。その青年・坂崎は地方の裕福な家に育ったが、受験失敗後意欲も失せ長距離便トラックのバイトをしていた。坂崎は従兄である浩一の訪問を受けた。マンションに住み海外で出会った恋人の冴子と甘い生活をすごす浩一は、坂崎とまるで反対の快適な大学生活を送っていた。夕子はバーで働きながらもいつも明るさを失わない、純な心の持ち主だった。いつか愛する人と世帯を持ち、平凡で幸福な家庭を持つことを日々夢見ていた。ある日、街で坂崎に会い浩一の開くパーティに誘われた。夕子にとって初めての経験だった。そんな二人を見た浩一と恋人の冴子は、美しく純粋な二人を汚してやりたい欲望にかられるのだった。浩一は、「幸福」を訪れ強引に夕子と関係を持った。浩一たちの悪魔のような心情を知った坂崎は浩一に刃を向ける。夕子はますます坂崎を愛するようになっていった。坂崎も純な夕子を求め、その日二人は初めて結ばれた。手が届くように思えた夕子の「幸福」は、まるで夢のように…。