南ゆき - 作品一覧

うっそうたる杉小立が夏の強い日差しをさえぎり、かすかに流れる風も涼を含む古都鎌倉の常在寺。朗々と物語を読む男の太い声が聞こえてくる。頬をちょっぴり赤く染めながらも、何食わぬ顔ですましている数人の女たちが、その淫らな目つきを隠すように伏せ目がちに聞いている。男はこの寺の和尚、日興で、読みながらの視線は時々、女の一人、聡子の白いうなじに走っていた。

浅野雄吉は信用金庫に勤めている実直なサラリーマンである。二年前霧子と結婚、団地で幸せな家庭生活を送っていたが、ある夜、得意先の経営者招待で、秘密に入手した8ミリ映画をかけたところ、妻にそっくりな女を観て、びっくりする。翌日、フィルムを持って家へ帰った彼は、甘くすねてみせる霧子にフィルムを見せて詰問する。とたんに霧子の顔色が変わったのを彼は見逃さなかった。翌日、やつれ顔の霧子は、雄吉に離婚を申し入れる。が、彼は妻の申し入れを拒んだ。

武蔵野鑑別所の女囚たちが体験する波乱の性生活。鑑別所内で繰り広げられる少女たちの闘争とSEXを描いた「実録おんな鑑別所」シリーズ。

斉藤は、都心に威容を誇るビル内にある某商社の中堅社員である。お定まりのラッシュアワー、朝の通勤電車の人波にもまれながら、彼は昨夜の情事を思い浮かべていた。昨日もまた女房を満足させることができなかった。最近はやっても体に疲労が吹き上げるばかり。インポ気味なのだ。あぁ、強い男でありたい！斉藤は心の中で絶叫し、次の瞬間堪えられない寂寥感に胸を締め付けられた。

ここは新宿「尼寺トルコ」。庵風の建物へ和服デザイナー新一と二十五年ぶりに再会した九郎の二人連れが―黒染めの衣に剃髪も青々とした艶な尼さんたち。どこからともなく読経の声が流れ、お布施を払って「さあ、どうぞ」。ところがカツラをとれば紅く染めた髪、色気のないサービスに戦意喪失した新一。「本当の尼さんなんてこんなものじゃない…」と、思いは遠き昔の田舎町へ…。

大学通って六年目、恥をかきます、マスもかく……。ママもやわ肌あこがれて、勉強しましたいろの道！！

こわくないのよ、私なら………。初めてだきます女のからだ。お世話かけます、下半身！！

ママさん下宿で四年半………教えてもらったテクニック、下半身もしびれます！！

激動の時代だった。明治の初期に時代を壮絶に生きた、日本で最初の写真家がいた。彼が写真に魅せられたのは、女が全裸で撮られている一枚の写真だった…。

日本の歴史のなかで、拷問は実際に行われてきた。そのすべての拷問を網羅して、若松孝二がかつてないスケールで描く、血ぬられた歴史。