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黒い服を着た美佐子が、教壇の椅子に腰を掛けて、生徒達のテストを監視している。先日、夫でやはり教師の信一が死んだばかりなのだが、担任の三年生のクラスの大事な試験の為に彼女は登校して来ているのだ。悲しみを抑えている彼女の姿は妙に艶っぽい、現に生徒の一人雄大は彼女の姿に欲情してしまってテストどころではなかった。
大橋早苗は、一年前に交通事故で夫を亡くした。一周忌を終え、やっと心の整理がついた早苗は、夫が残した唯一の財産である旅館に訪ねていく。夫が生きていた間は、夫に任せきりだった旅館であったが、夫が死んでからは毎月赤字が続いていた。このままでは処分しなければならない。そう思った早苗は、自分の目で確かめてから決めようと思った。早苗としても夫の生まれ育ったこの旅館を残したいと思っていた。