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永井荷風の原作と言われる「四畳半襖の下張り」をヒントに、神代辰巳が映画化。その年の各映画賞を賑わせた日活ロマン・ポルノ初期を代表する傑作。米騒動が頻発する大正7年。映画は前半、芸者・袖子(宮下)が信介(江角)との初会で燃え上がっていく様を中心に、いくつかのエピソードを挟み込みながら、進んでいく。芸者の花枝(絵沢)が半玉・花丸(芹)に説く床での心構え、芸者・夕子(丘)と二等兵の恋、太鼓持ち・ぴん助(山谷)のお座敷での首吊り事件…。これらは、いずれも日時がバラバラでありながら、袖子と信介の交わりだけは、一夜の出来事というユニークな構成。この約50分近く続く蚊帳の中でうねる女の官能シーンだけをとっても、観る価値は十分。その中に挿入されるサイレント字幕、世相を表すスチール、ナレーションとも呟きとも唄ともつかぬBGM(?)…。“神代映画”が心いくまで堪能出来る作品だ。
昭和30年代初頭の玉の井。得飲店「小福屋」では、多くの女たちが春をひさいでいた。やくざの志波(蟹江)に入れ揚げているシマ子(宮下)、昨年の正月に繁子(中島)が作った1日26人の記録を破ろうと奮戦しているな粉(丘)。その繁子はもはや人気は下り坂。女将(絵沢)からは鞍替えを勧められている。そんな娘のままこの店にやってきた公子(芹)は、結婚のため退職。女将にもらった餞別で新婚旅行へ。ところが2年の勤務は、彼女の体を変えていた。新郎のあまりに稚拙な愛撫に公子はガッカリ。帰郷早々、「小福屋」に戻って客を取る始末だ。一方、シマ子は志波が若い女と一緒にいたと、聞き激怒。ワレを忘れて男の元へ向かう。そんなさまざまな女のドラマをよそに、店仕舞いの時刻が迫ってきた。最後の追い込みにかかった直子は、おやじさん(殿山)から教えられた「股火鉢」で蜜壺を暖めて、効率よく男を回転させようとするが…。たくましい女への共感と畏敬。神代辰巳監督ならではの映画世界か女の職場・赤線に花開いた傑作。独自の呟くような歌に加え、漫画家・滝田ゆうの絵も挿入。